制御機能とは?身近な例でわかりやすく解説

制御機能とは?ひとことで言うと

温度を測るセンサー、判断するマイコン、動かすモーターとヒーターが矢印で環状につながり、制御が繰り返されることを示した図

制御機能とは、「測って・判断して・動かす」を機械が自動でくり返すしくみのことです。

  • 測る:温度・位置・速度・重さなど、今の状態をセンサーで調べる
  • 判断する:目標としている状態と比べて、どうすればいいか決める
  • 動かす:モーターやヒーター、バルブなどを実際に動かす

この3つが自動でぐるぐる回っていれば、それは制御機能です。測った結果を次の動きに反映させるので、これをフィードバック制御と呼びます。

もうひとつ、決めた順番どおりに進めるタイプの制御もあります。洗濯機の「洗う→すすぐ→脱水」や、信号機の切り替わりがこれです。こちらはシーケンス制御と呼ばれ、工場の装置ではむしろこちらが主役になることも多く、記事の後半で出てくるPLCの話につながります。

なお、人が「暑いな」と感じてエアコンのリモコンを押すのも、測って判断して動かしているので人がやっている制御(手動制御)です。この記事で扱うのは、機械が自分でやる制御(自動制御)のほうです。


身近な制御機能の例3つ

エアコン:設定温度に近づける

エアコンは室温を測り、設定温度と比べて、コンプレッサーやファンの強さを調整します。設定が26℃で室温が30℃なら強く、27℃まで下がったら弱く。目標に近づくほど、そっと動かすのがポイントです。

(いまのエアコンの多くはインバーター方式で、この細かい調整ができます。古いタイプは設定温度で運転を入り切りするだけの機種もあります。)

炊飯器:時計だけに頼らず、温度を見て切り替える

炊飯器は「何分加熱する」と決め打ちするのではなく、釜の温度を測りながら火加減を変えています。水がある間は温度が上がりにくく、水が無くなると急に上がる。その変化やあらかじめ決めたしきい値を手がかりに「炊きあがった」と判断し、そこからは時間を測って蒸らします。

同じ機械でも、米の量や水の量で最適な加熱の仕方は変わります。測って判断するから、条件が変わっても同じ結果が出せるわけです。

電動アシスト自転車:人の力に合わせる

ペダルを踏む力をセンサーで測り、その大きさに応じてモーターの助けを変えます。坂道で強く踏めば強く、平地で軽く踏めば控えめに。

さらに、時速24kmになるとアシストはゼロと法律で決められていて、そこに向けて助ける量を減らしていきます。この計算もマイコンが担当しています。「制御は法規に合わせて設計する」という、産業機器にも共通する例です。


動かし方には「2択」と「強弱」がある

オンオフ制御は目標値の上下に大きく振動し、PID制御はわずかに行き過ぎたあとなめらかに目標値へ収束することを比べた折れ線グラフ

さきほどの3つはどれもフィードバック制御ですが、動かし方に違いがあります。大きく分けると2つです。どちらも「測って比べる」のは同じで、違うのは入り切りの2択で動かすか、強弱をつけて動かすかです。

オンオフ制御:決めた値を超えたら切り替える

いちばん単純なやり方です。「30℃を超えたらファンを回す、28℃を下回ったら止める」のように、しきい値で入り切りを切り替えます。

  • 利点:作りが簡単で、部品も安く済む
  • 欠点:値が目標の上下に揺れる(切り替わるたびに行き過ぎる)

こたつ、電気ポット、換気扇の自動運転など、多少揺れても困らないものに向いています。

比例・PID制御:強弱をつけて微調整する

目標との「差」を見て、差が大きいときは強く、小さいときは弱く動かします。さらに次の3つを組み合わせる方式を PID制御 と呼びます。

記号 何を見ているか 何のために要るか
P(比例) 差の大きさ 差が大きいときに強く動かす。制御の土台
I(積分) 差が消えずに残っている量 わずかに残ったズレを最後まで詰める
D(微分) 差がどれくらいの速さで変わっているか 行き過ぎを先回りして抑える

たとえば炊飯器のヒーターや、装置のファンの回転数のように、値をぴったり保ちたいものではこちらが使われます。

  • 利点:目標にほぼ合わせられる。揺れが小さい
  • 欠点:調整(チューニング)が要る。作り込みに手間がかかる

どちらを選ぶか

オンオフ(2択) 比例・PID(強弱)
やり方 しきい値で入り切り 差を見て強さを調整
精度 目標の上下に揺れる 目標にほぼ一致
作りやすさ 簡単 調整が必要
向いている用途 多少の揺れが許される 精度・安定が要る

どちらが優れているという話ではありません。「±3℃でいい」のにPID制御を作り込むのは過剰ですし、「±0.5℃を保ちたい」のにオンオフ制御では届きません。まず求める精度から考えると選びやすくなります。


マイコン制御とは?制御機能を担っている部品

「測って・判断して・動かす」を実際にやっている部品が、マイコン(マイクロコントローラ)です。マイコンが制御を担うことをマイコン制御と呼びます。

なぜ制御にマイコンが使われるのか。理由は2つあります。

1. 1秒間に何千回も測って判断できる
制御は「測って判断する回数」が多いほど滑らかになります。人が同じことをやろうとしても、1秒に数回が限界です。マイコンは決められた間隔で休まず測り続けられます。

2. センサーの入口とモーターの出口を、直接持っている
パソコンと違って画面もキーボードもありませんが、その代わりにセンサーからの信号を受け取る入口と、モーターやヒーターを動かす出口が最初から備わっています。制御に必要なものだけが1つのチップに入っている部品だと考えてください。

エアコンにも炊飯器にも電動アシスト自転車にも、この部品が入っていて、電源が入っている間ずっと「測って・判断して・動かす」を繰り返しています。

📎 マイコンそのものについて詳しく → マイコンって何をしてるの?基本の3つの役割「センシング・通信・制御」をわかりやすく解説


産業機器での制御:身近な家電と何が違うか

家電と産業機器で、制御の考え方そのものは同じです。違うのは求められる精度と、止まったときの影響の大きさです。

サーリューションがこれまでに開発した装置には、次のような制御が含まれています。

装置 制御している内容
ホットスターラー(加熱撹拌装置) ヒーターの温度と撹拌モーターの回転を、PID制御で一定に保つ
大型ファンユニット 風量が変わらないよう、モーターの回転をPID制御で維持する
モータドライバ モーターの中の磁石の向きに合わせて電流を細かく作り分ける方式(ベクトル制御)で、低速から高速までなめらかに回す
ドラフトチャンバー(実験用の排気設備) 排気の状態を検知して、表示・警告・連動制御を行う
充放電器 電圧・電流を監視しながら、充電と放電を切り替える

産業機器で効いてくるのは、「うまくいかないときにどうするか」の作り込みです。センサーが壊れたら/目標に届かないまま時間が経ったら/電源が瞬断したら。正常時の制御より、異常時の振る舞いのほうが設計に時間がかかることも珍しくありません。

PLCとマイコン、どちらで作るか

工場の装置を制御する方法には、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ。三菱電機製品の名称から「シーケンサ」と呼ばれることもあります)を使う道と、マイコンで専用の基板を作る道があります。

PLC マイコンで専用基板
初期費用 低い(既製品を買って組む) 高い(設計が要る)
1台あたりの費用 台数が増えても変わらない 設計費を台数で割るので、台数が増えるほど下がる
大きさ 大きい 小さくできる
変更のしやすさ 現場で変えやすい ソフトの変更は更新で対応できる。入出力を増やすなどハードに関わる変更は基板の設計に戻る
保守のしやすさ 現場の電気担当者が扱える。長期の部品供給や耐環境性・安全規格の面でも実績がある 開発元に依存しやすい
向いている場面 設備・生産ライン、少数台 製品に組み込む、量産する

設備を動かすならPLC、製品として出すならマイコンというのが大まかな分かれ目です。年に数台なら既製品を組み合わせたほうが安く、数百台・数千台作るなら専用基板のほうが安くなります。

📎 外注の進め方・費用の目安 → 組み込み受託開発とは|外注の進め方・費用・選び方ガイド


「制御機能を付けたい」と思ったら

装置や製品に制御機能を持たせたい場合、選択肢は3つあります。

1. 既製品を組み合わせる

温度調節器やモータードライバなど、制御機能を持った既製品を買って組みます。立ち上げが早く、実績のある方法です。大きさや費用に余裕があり、台数が少ないならこれが最適解になることが多いです。

2. 自社で開発する

社内に組み込みソフトの技術者がいる場合の選択肢です。装置と一緒に長く面倒を見られる、改良を自分たちの判断で回せる、というのが強みです。一方で、担当者が抜けたときに引き継げるかが課題になります。

3. 外注する

回路設計・基板設計・マイコンのソフト開発を、専門の会社に依頼します。次のような場合に向いています。

  • 製品に組み込みたい(小さくしたい・量産したい)
  • 既製品では精度や機能が足りない
  • 社内に組み込みの技術者がいない、または手が空かない

外注するときに準備しておくとよいことは、次の3つです。仕様書は無くて構いません。

  • 何を測って、何を動かしたいか(温度を測ってヒーターを動かしたい、など)
  • どれくらいの精度が要るか(±1℃なのか±0.1℃なのか)
  • 何台作る予定か(1台なのか、年間500台なのか)

この3つが分かれば、PLCで済むのか専用基板が要るのか、方向性の相談ができます。


まとめ

  • 制御機能とは「測って・判断して・動かす」を機械が自動でくり返すしくみ(=フィードバック制御)
  • ほかに決めた順番どおりに進めるシーケンス制御もあり、工場の装置ではこちらが主役のことも多い
  • 動かし方は オンオフ(2択)比例・PID(強弱) の2タイプ。求める精度から選ぶ
  • PID制御は P(差の大きさ)/I(残っているズレ)/D(変化の速さ) の3つを組み合わせる
  • 制御を担当している部品がマイコン。1秒に何千回も測って判断でき、センサーとモーターの入口・出口を直接持っている
  • 産業機器では、正常時の制御より異常時の振る舞いの作り込みに時間がかかる
  • 設備を動かすならPLC、製品に組み込んで量産するならマイコン
  • 外注するときは「何を測って何を動かすか」「必要な精度」「台数」の3つが決まっていれば相談できる

サーリューションは、温度制御・モーター制御・充放電制御など、産業機器の制御を数多く手がけてきました。回路設計からマイコンのソフト開発まで一社で対応しているため、「こんな装置を自動化したい」という段階からご相談いただけます。

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