はじめに|ボーンズ様の展示会デモ機を、約1ヶ月で製作しました
サーリューションは、回路設計・プリント基板設計から、マイコンファームウェア(機器を動かす組み込みプログラム)・組み込みソフトウェア開発、機構設計、IoTまでを一社でワンストップ対応する受託開発会社です。
今回ご紹介するのは、電子部品メーカーのボーンズ株式会社(Bourns)様からのご依頼で、自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」向けのデモ機(製品の効果を来場者に実演で見せる装置)を製作した事例です。本記事では、展示されたボーンズ様の製品と、限られた期間の中でサーリューションがどのように対応したのかをご紹介します。
ボーンズ(Bourns)社について
ボーンズ社は、1947年に米国カリフォルニア州で創業した、世界的な電子部品メーカーです。抵抗器やポテンショメータ(可変抵抗器)、回路を守る保護デバイス、そして熱を制御する各種デバイスなどを、自動車・産業・民生機器向けに幅広く手がけています。
日本ではボーンズ株式会社として事業を展開しています。車載分野で培った品質への信頼を背景に、ブースには「AUTOMOTIVE GRADE. PROVEN IN REALITY(車載グレードを、現実の中で証明する)」というキャッチフレーズが掲げられていました。創業から75年を超える、長い歴史を持つメーカーです。
出展先「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」
デモ機が実際に使われたのは、2026年5月にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」です。自動車技術会(JSAE)が主催する自動車・モビリティ技術の総合展示会で、国内外から多くの技術者や開発担当者が集まります。
電気自動車(EV)の普及により、車載部品には「熱」への対策がこれまで以上に求められています。ボーンズ様は、この展示会で熱対策の総合的な提案「Thermal Solution」を訴求するため、その効果を来場者に直感的に伝えるデモ機を必要としていました。
展示されたボーンズ製品|熱から機器を守る「Thermal Solution」
ボーンズ様が展示した「Thermal Solution」は、機器の熱トラブルに「測る・放熱する・守る」の3ステップで対応する考え方です。今回のデモ機では、このうちサーマルジャンパーとミニブレーカーという2つの製品の効果を中心に可視化しました。それぞれの役割を簡単にご紹介します。
サーマルジャンパー(熱を逃がす部品)
サーマルジャンパーは、電気を通さずに「熱」だけを効率よく逃がす表面実装部品です。熱を伝えやすいセラミック材料(窒化アルミニウムなど)を使い、基板上で熱がこもりやすい場所から、銅箔パターンや放熱部分へと熱を橋渡しします。これにより、部品の急激な温度上昇をやわらげる役割を果たします。電気回路の動作に影響を与えずに放熱できる点が特長です。詳しい仕様はボーンズ公式サイトのサーマルジャンパー製品ページでご確認いただけます。
ミニブレーカー(熱で電流を遮断する部品)
ミニブレーカーは、設定した温度に達すると電流を自動的に遮断する熱保護デバイスです。バッテリー(リチウムイオン電池など)が過熱したときに回路を遮断して機器を守ります。製品には、遮断した状態を保つタイプと、温度が下がると復帰するタイプがあります。スマートフォンやノートパソコンのほか、車載シートヒーターやLEDなど、過熱対策が求められるさまざまな用途で使われています。詳しい仕様はボーンズ公式サイトのミニブレーカー製品ページでご確認いただけます。
なお、温度そのものを測る役割はNTCサーミスタ(温度によって電気抵抗が変わる温度センサー素子)が担います。「NTCで温度を測り、サーマルジャンパーで放熱し、それでも過熱が続く場合はミニブレーカーで電流を遮断する」——この一連の流れ(測る・放熱する・守る)を1つにまとめたものが、ボーンズ様の「Thermal Solution」です。
デモ機の仕組み|熱対策の効果を“目で見て”確かめる展示
今回サーリューションが製作したデモ機の狙いは、「ボーンズ様の部品があると、何がどう変わるのか」を来場者がひと目で理解できることです。そのために、対策あり・なしを並べて比較できる構成にしました。
2枚の基板を並べて「ある/ない」を比較
デモ機には、左右に2枚の基板を配置しています。左はサーマルジャンパー「あり(with BTJ)」、右は「なし(No BTJ)」。同じ条件で電流を流して加熱していくと、両者の温度の上がり方に差が出ます。サーマルジャンパーがある側は温度上昇がゆるやかで、ミニブレーカーが遮断したあとも、ゆっくりと温度が戻っていきます。
中央の表示で「温度差」をリアルタイムに見せる
各基板の温度はNTCサーミスタで計測し、中央の7セグメントLEDに左右の温度差として表示されます。このデモ機では、条件によって左右の差が約20℃まで広がる場面もあり、対策の有無による違いが数字ではっきり分かります。
スペック表ではなく「変化の過程」を見せる
カタログの数値だけでは、部品の効果はなかなか実感しづらいものです。このデモ機は、時間とともに温度差が広がっていく過程や、ミニブレーカーが働いて電流が遮断される瞬間を、その場で体感できるようにしました。来場者が立ち止まって見入る、商談のきっかけになる展示を目指しています。
サーリューションの対応|1ヶ月・仕様変更への柔軟対応
このデモ機づくりで評価いただいたのが、限られた期間でのスピードと、仕様変更への柔軟さです。
複数台のデモ機を、約1ヶ月で製作・納品
ボーンズ様からは複数台のデモ機のご依頼をいただきました。展示会までの期間は約1ヶ月と短く、サーリューションはその中で確実に仕上げて納品。そのうちの1台が、人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMAの会場で実際に稼働しました。短い期間でも、機能と仕上がりを両立させた製作体制で対応しています。
「これも付けたい」に、その都度対応できた理由
製作を進める中では、「この表示も加えたい」「この機能も入れたい」といった仕様変更のご要望がその都度発生しました。仕様が固まってからでないと動きにくい体制もある中で、サーリューションは設計を調整しながら柔軟に対応しました。
これができたのは、回路設計・プリント基板・組み込みソフトを社内で一括して対応できるワンストップ体制があるからです。ハードとソフトの担当が分かれていると、変更のたびに会社間の調整が必要になりますが、一社で完結していれば、その場で設計に反映できます。「途中で仕様が変わる」ことが前提になりがちな展示会デモ機や試作だからこそ、この柔軟さとスピードが活きました。
展示会での様子
完成したデモ機は、ボーンズ様のブースで実際に稼働し、来場者が立ち寄って製品の効果を確かめる展示として活躍しました。「測る・放熱する・守る」という熱対策の流れを、言葉だけでなく動きで伝える——その役割を果たすことができました。
まとめ|展示会デモ機・試作のご相談はサーリューションへ
今回は、世界的な電子部品メーカーであるボーンズ様の展示会デモ機を、約1ヶ月という短い期間で、仕様変更にも対応しながら製作した事例をご紹介しました。サーリューションは、こうした展示会向けデモ機や試作品の製作はもちろん、回路・基板設計から組み込みソフト開発までを一社でワンストップ対応できます。
「展示会で自社製品の効果を分かりやすく見せたい」「短い納期で試作をかたちにしたい」「途中で仕様が変わるかもしれないが、柔軟に動いてほしい」——そうした段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
組み込み受託開発の進め方や費用の考え方については、組み込み受託開発とは|外注の進め方・費用・選び方ガイドもあわせてご覧ください。
