組み込み開発を外注する費用・相場|見積りの内訳と抑えるコツ

はじめに:組み込み開発の外注、結局いくらかかるのか

「組み込み開発を外注したいが、相場が分からず予算が立てられない」「見積りを取る前に、おおよその費用感だけでも掴んでおきたい」——マイコンを使った製品開発(組み込み開発)の外注を検討するとき、多くの方が最初に気にされるのが費用です。

結論からお伝えすると、組み込み受託開発の費用には一律の「定価」はなく、案件の内容によって大きく変わります。同じ「マイコンを使った製品開発」でも、求める機能やハードウェアの範囲、量産するかどうかによって、数十万円規模から一千万円を超える規模まで幅があります。

とはいえ、「何が費用を左右するのか」「見積りの内訳はどうなっているのか」を知っておけば、相談前におおよその予算感をつかむことは十分に可能です。本記事では、組み込み開発を外注する際の費用の決まり方・規模別の目安・見積りの内訳・費用を抑えるコツ・見落としがちな追加費用までを、発注する側の目線で整理します。

なお、本記事に挙げる金額はあくまで業界一般の目安です。サーリューションではお見積りは無料ですので、具体的な費用は内容をお聞きしたうえでお出しします。組み込み受託開発の全体像から知りたい方は、組み込み受託開発とは|外注の進め方・費用・選び方ガイドもあわせてご覧ください。


組み込み開発の費用が「一概に言えない」理由|見積りを左右する6つの要素

組み込み開発の費用を左右する6つの要素を基板から放射状に示した図

組み込み開発の費用は、次の6つの要素の組み合わせで決まります。逆に言えば、この6つを自社の希望に当てはめて考えると、費用が大きくなりそうか・小さく収まりそうかの見当がつきます。

  • ① 機能の複雑さ:制御・通信・センサ計測・表示など、求める機能の数と難易度。機能が増えるほど、設計・実装・検証の工数が増えます。
  • ② ハードウェアの範囲:組み込みソフト(ファームウェア=機器を動かすプログラム)だけを依頼するのか、回路設計・プリント基板設計・機構設計まで含むのか。ハードを含むほど費用は大きくなります。
  • ③ 通信・認証の有無:Bluetooth(BLE)や各種ネットワーク通信、無線、暗号化・認証などは、実装と検証に専門的な工数がかかります。とくに無線は、自社で無線回路を新規設計する場合は工事設計認証(いわゆる技適)の取得費用・期間がかかりますが、技適取得済みの無線モジュールを改造せず組み込む場合は、完成品側で新たな認証取得が不要になるケースもあり、費用を抑えられます。
  • ④ 量産の有無:試作(動くものを1台作る)までか、量産設計・部品調達・製造まで見据えるか。量産を前提にすると、部品の入手性やコストを考えた設計が必要になります。
  • ⑤ 品質・信頼性の要求レベル:産業機器など、高い信頼性や長期間の安定動作が求められるほど、設計・試験の工数が増えます。
  • ⑥ 既存資産の有無:ゼロからの新規開発か、既存製品の改修・機能追加か。流用できる設計やソースコードがあれば費用を抑えられます。

このうち、費用に最も大きく効くのが②ハードウェアの範囲④量産の有無です。「ソフトの一部改修だけ」と「ハードもソフトも新規で量産まで」では、費用は文字どおり桁が変わります。


見積りの内訳|何にお金がかかっているのか

組み込み受託開発の見積り内訳を横長バーと割合チャートで表した図

組み込み受託開発の見積りは、主に次の項目で構成されます。内訳を理解しておくと、見積書を受け取ったときに「どこに、いくらかかっているのか」を読み解けるようになります。

1. 設計・開発の人件費(人月単価)

組み込み受託開発の費用の中心は、エンジニアの作業工数(人件費)です。ソフトウェア開発では、工数を「人月(にんげつ)」——エンジニア1人が1ヶ月作業する量——という単位で見積もるのが一般的です。1人月あたりの単価は技術の難易度や会社によって幅があり、ソフトウェア全般ではおおむね80万〜150万円程度、組み込み領域はエンジニアの専門性が高いぶん100万〜150万円程度が一つの目安とされます(高度な無線通信や信号処理など、専門性がとくに高い領域ではさらに上がります)。たとえば「エンジニア2人が3ヶ月」かかる開発なら6人月となり、これに単価を掛けたものが人件費のベースになります。受託開発の費用は、この人件費(工数)が大きな割合を占めるのが一般的です。

2. ハードウェア関連費用

回路・基板設計を含む場合は、設計工数に加えてプリント基板の試作費・部品代がかかります。試作基板は枚数や層数(基板内の導体層の数。多いほど高機能ですが高価になります)、使う部品の種類によって費用が変わります。

3. 試作・評価・テストの費用

作ったものが仕様どおり動くかを確認する試作・評価にも工数がかかります。試作を何回繰り返すか(試作回数)は、費用と期間に直結します。

4. 量産準備・部品調達の費用

量産を前提とする場合は、量産向けの設計調整・部品の安定調達・製造立ち上げの費用が加わります。

5. ドキュメント・サポート

仕様書・回路図・取扱説明などのドキュメント作成や、納品後のサポート範囲も、見積りに含まれることがあります。


規模別の費用・期間の目安

小規模から大規模までの組み込み開発の規模感と費用を抑えるコツを示した図

あくまで一般的な目安ですが、規模感をイメージしやすいよう、小・中・大の3段階で整理します。実際の費用は前述の6要素で大きく変わるため、幅をもって捉えてください。

規模 内容の例 費用感の目安(業界一般の相場) 期間の目安
小規模 既存製品へのファーム機能追加・一部改修 数十万円〜100万円台 数週間〜2ヶ月程度
中規模 1製品を新規設計(回路・基板+ファーム、通信あり) 数百万円規模 3〜6ヶ月程度
大規模 複数基板・無線通信・量産・各種認証まで含む製品開発 1,000万円規模〜 半年〜1年以上

※上記は業界一般の相場感であり、サーリューションの料金表ではありません。実際の費用は内容により上下します。「自社のケースだといくらか」を早く知りたい段階でのご相談も歓迎しています。

参考までに、中規模(回路・基板+ファームを新規設計、通信あり)の費用の中身をざっくり分解すると、設計・開発の工数が数人月〜十数人月程度、これにプリント基板の試作費・部品代、評価・テストの工数が加わり、合計で数百万円規模になるイメージです(あくまで一例で、機能数や試作回数で上下します)。前述のとおり費用の多くは人件費(工数)が占めるため、工数を増やさない進め方がコストを抑える鍵になります。


組み込み開発の費用を抑える5つのコツ

  1. 構想・仕様は早い段階で相談する:仕様が固まらないまま開発を進めると、後からの手戻りで工数が膨らみます。構想段階で相談し、実現方法を一緒に詰めるほうが、結果的に安く収まります。
  2. 「必須」と「あったら良い」を分ける:機能に優先順位をつけ、まず必須機能で作り、追加は後から——とすると初期費用を抑えられます。
  3. 既存の資産を活かす:流用できる基板・ソースコード・評価ボードがあれば共有する。ゼロから作るより費用を下げられます。
  4. ハードとソフトを一社にまとめる:別々の会社に頼むと、境界の調整やトラブルの切り分けに余計な工数(=費用)がかかりがちです。一社完結なら手戻りを抑えやすくなります。
  5. 長期供給を見据えてマイコンを選ぶ:採用したマイコンが製造終了になると、作り直しの費用が発生します。長期供給に強い部品を最初に選んでおくと、将来のコストを防げます。

とくに4は効果が大きく、ハードウェアからソフトウェアまでを一社で受託できる会社なら、回路設計の段階からソフトの都合を織り込め、不具合時の切り分けもスムーズです。サーリューションは回路・基板設計からマイコンファームウェア・組み込みソフト、IoT(モノをインターネットにつなぐ仕組み)までをワンストップで受託しており、この「境界の手戻り」を抑えやすい体制が特徴です。マイコンも10種類以上の開発に対応し、用途・コスト・供給状況をふまえてマイコンを選定・提案します。


見落としがちな「追加費用」の落とし穴

初期見積りには表れにくく、後から発生しがちな費用も押さえておきましょう。

  • 仕様変更・追加:開発途中の仕様変更は、手戻りで工数が増えます。
  • 試作回数の増加:思うように動かず試作を重ねると、そのぶん費用がかさみます。
  • 認証・規格対応:無線を自社設計する場合の工事設計認証(技適)や各種規格への対応が後から必要と分かると、追加費用・期間が発生します(技適取得済みモジュールの採用で回避できる場合もあります)。
  • 量産立ち上げ:試作はできても、量産には別途の設計調整・部品手配が必要です。
  • 保守・改版:納品後の不具合対応や仕様変更の範囲を事前に決めておかないと、想定外の費用になりがちです。

これらは、最初の相談時に「どこまでを見積りに含むか」を明確にしておくことで多くを防げます。


安さだけで選ぶと、かえって高くつくことも

費用を比べるときに気をつけたいのが、金額の安さだけで選ばないことです。安価でも対応範囲が狭いと、結局ほかの会社に追加発注が必要になり、トータルでは割高・長期化することがあります。とくにハードとソフトを別々に発注すると、両社の間の調整に時間とお金がかかりがちです。

費用は、対応範囲・実績・コミュニケーションのとりやすさを含めて総合的に判断するのが、結果的に失敗しないコツです。依頼の進め方そのものは、組み込み開発を外注する進め方(仕様書がなくても依頼できる流れ)の記事で詳しく解説しています。


まとめ|費用で失敗しないために

  1. 費用は「6つの要素」で決まる:機能・ハードの範囲・通信や認証・量産の有無・品質要求・既存資産。とくにハードの範囲と量産の有無で桁が変わる。
  2. 内訳と相場感を押さえる:費用の中心は工数(人月)。規模別の目安を幅で捉え、追加費用の落とし穴を事前につぶす。
  3. 安さだけで選ばない:対応範囲・実績・コミュニケーションを含めて総合的に判断する。早い段階での相談が、結果的にコストを抑える。

組み込み開発の費用に関するよくある質問

Q. 見積りだけお願いすることはできますか?
A. はい。サーリューションではお見積りは無料です。「この内容だと、いくら・どれくらいかかるか」を知りたい段階でのご相談も歓迎しています。

Q. 仕様がまだ固まっていなくても、費用感は出せますか?
A. 構想段階でも、内容をお聞きしながら概算の費用感と期間の目安をお伝えできます。要件の整理から一緒に進められます。

Q. ソフトだけ・基板だけなど、一部だけの依頼でも費用は出ますか?
A. 可能です。部分的な受託も、製品まるごとの一括開発も対応しており、それぞれに合わせてお見積りします。

Q. 後から費用が膨らまないか心配です。
A. 最初の相談で「どこまでを見積りに含むか」「仕様変更や試作回数の扱い」を明確にしておくことで、想定外の追加費用を抑えられます。

サーリューションは、ハードウェアとソフトウェアを横断して組み込みシステムを受託開発できる会社です。「まず費用感を知りたい」「予算内で実現できるか相談したい」——そうした段階でも、お気軽にお問い合わせください。

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