マイコン開発の受託会社は何を基準に選ぶべきか ― 納品後の「安心」を左右する、組み込みソフトウェア設計の考え方 ―

マイコン開発の受託を検討するとき、多くの方が「納期」「価格」「対応可能なマイコンの種類」といった条件で比較されることでしょう。

しかし、マイコン開発では「動く/動かない」だけでは不十分です。

ソフトウェアは目に見えません。同じ動作を実現するにも、書き方には無数の選択肢があります。だからこそ、会社ごとの「設計方針」こそが品質の差となって現れるのです。

つまり、マイコン開発の受託会社を選ぶ際の最重要ポイントは、「どんな思想でプログラムを書いている会社か」 ということ。

本記事では、受託会社選びで失敗しやすい理由と、確認すべき基準について解説します。さらに、当社が実践している「納品後の安心を重視した5つの設計ルール」もご紹介します。

マイコン開発の受託会社選びで失敗しやすい理由

「納品されたときは問題なく動いていたのに…」

そんな声を耳にすることは少なくありません。実際、マイコン開発の受託において、以下のような問題は珍しくないのです。

  • 仕様変更・機能追加のたびに工数が膨らむ
  • 担当者が変わると、誰もコードを理解できなくなる
  • ちょっとした修正のはずが、思わぬ箇所に影響する

これらの原因の多くは、「設計ルールや思想が共有されていない開発」にあります。

コードが場当たり的に書かれていたり、開発者個人のクセに依存していたりすると、納品後の保守や拡張で大きな壁にぶつかります。見た目には動いていても、内部は「誰にも触れないブラックボックス」になっているケースがあるのです。

マイコン開発会社を選ぶ際に確認すべき基準とは

技術力だけでなく「設計の考え方」を確認する

受託会社を比較する際、「対応可能な言語」や「扱えるマイコンの種類」を確認するのは当然です。しかし、それだけでは十分とは言えません。

なぜなら、同じ言語・同じマイコンを使っても、設計の思想次第でコードの品質は大きく異なるからです。

設計思想が明確でない開発は、属人化とブラックボックス化を招きます。開発した本人がいなくなれば、誰も手を入れられないコードが残るだけです。

だからこそ、「どのような設計方針で開発しているのか」を言葉で説明できる会社かどうかを確認することが重要です。

当社では、納品後の安心を重視した5つの設計ルールを定め、すべてのプロジェクトで一貫した品質を担保しています。

納品後の「安心」を約束する 当社の組み込みマイコンソフトウェア 5つの設計ルール

ソフトウェア開発に唯一の正解はありません。しかし、「長く使えるコード」には共通点があります。

当社では、「動くだけで終わらない設計」を重視し、以下の5つのルールに基づいた開発を行っています。

① 機能性 ― 状態遷移方式・イベント駆動型設計

当社では、状態遷移方式とイベント駆動型設計を標準として採用しています。

この設計方式により、複数の機能が同時に動作しても処理遅延が発生しにくく、リアルタイム性が求められる組み込み機器において安定した動作を実現できます。

また、状態と処理が明確に分離されているため、後から機能が増えても破綻しにくい構造になります。

当社は「リアルタイム性」と「安定動作」を常に念頭に置いた設計を心がけています。

② 独立性 ― 機能ごとのモジュール化

当社のソフトウェアは、機能単位で明確に分離されたモジュール構造を採用しています。

モジュール間の結合度を極力下げることで、ある機能を修正しても他の部分に影響が波及しにくい設計となっています。

これは、仕様変更に強い設計であり、納品後に「ちょっとした追加」が発生しても、スムーズに対応できることを意味します。

③ 保守性 ― 構造化設計と依存関係の整理

コードの保守性を高めるために、当社では構造化設計を徹底しています。

具体的には、重複するコードを排除し、依存関係を循環させないように整理しています。

これにより、誰が見ても処理の流れを追える構造になり、担当者の引き継ぎや、将来的な改修がスムーズに行えます。

保守・改修・引き継ぎを前提にした設計は、長期にわたって製品を使い続けるお客様にとって大きな安心材料となります。

④ 再利用性 ― 実績に基づくモジュール資産

当社では、過去の開発実績から汎用性の高い機能をモジュールとして資産化しています。

これらのモジュールは、異なる機器・異なるマイコンでも再利用可能なように設計されており、直近のプロジェクトではモジュール再利用率が6割を超えています

モジュール資産の活用は、開発期間の短縮、コストの削減、そして品質の安定に直結します。

再利用率の高さは、受託開発会社としての成熟度を示す指標のひとつです。

⑤ 拡張性 ― 将来を見据えたN系統対応設計

当社では、設計段階から将来の拡張を見据えた「N系統対応設計」を採用しています。

たとえば、最初は1系統の通信だけでも、将来的に2系統、さらにはN系統へと容易に拡張できる構造にしておきます。通信だけでなく、入力系統や制御系統の増設にも同様の考え方を適用しています。

これにより、「今だけでなく、将来の製品展開まで見据えた開発」が可能になります。

参考)当社のマイコン・ファームウェア設計について

設計方針が明確な受託会社がもたらすメリット

設計思想が明確な受託会社を選ぶことで、以下のようなメリットが得られます。

  • 納品後のトラブルが少ない
  • 仕様変更・機能追加がスムーズに進む
  • 社内での引き継ぎ・保守が楽になる
  • 長期的なトータルコストが抑えられる

目先の価格だけで判断すると、後から修正や改修のたびに追加費用が発生し、結果的に高くつくケースがあります。

設計方針が明確な会社に依頼することが、結果として一番コストパフォーマンスが良いのです。

マイコン開発を安心して任せるために

マイコン開発の受託会社を選ぶ際には、価格やスピードだけで判断しないことが重要です。

「どんな考えでソフトウェアを書いているか」を必ず確認してください。

その質問に対して、設計思想を言葉で明確に説明できる会社は信頼できます。設計ルールを公開しているということは、隠すものがないということでもあります。

納品後の安心を手に入れるために、ぜひ設計方針を重視した会社選びをおすすめします。

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